海事アカデミア2022
 印刷 2022年02月21日デイリー版1面

MariTech 海事未来図】LNG・水素燃料船、RINAが基本承認。世界初、化石燃料でGHG7割減

新コンセプト船の完成イメージ(RINA提供)
新コンセプト船の完成イメージ(RINA提供)

 イタリア船級協会(RINA)は17日、LNG(液化天然ガス)と蒸気を組み合わせて船上で発生させた水素を動力源とするMR(ミディアムレンジ)型プロダクト船に基本承認(AIP)を付与したと発表した。スウェーデンのエンジニアリング会社FKABマリンデザインが開発したもの。化石燃料を使用しながらIMO(国際海事機関)が掲げる2050年のGHG(温室効果ガス)削減目標、「トンマイル当たり70%以上削減」を達成する世界初の船型になるとしている。

 新コンセプト船はRINAが考案。共同開発プロジェクトとして欧州重電大手ABBグループ、ギリシャの水素生産システム開発会社HELBIOが加わり、FKABが推進機関を含め設計した。

 今回の推進技術はMR型に限らず、幅広い船種・大きさの船舶に適用できるとしている。

 同船はLNGをベースの燃料として、LNGをHELBIOのガス改質器で蒸気と結合させることで、船上で水素とCO2(二酸化炭素)に分解。発生した水素を主機の動力源として、LNGと同時に利用できる推進システムを搭載する。

 発生したCO2はLNGからの超低温の蒸気で液化し、主機の燃焼制御強化などに使う不活性ガスとして活用、回収する。

 水素の使用量を段階的に増やすことで、環境規制の強化に合わせてCO2排出量を削減できる。最終的には水素だけで主機を稼働させ、完全な脱炭素化も可能になる。

 IMOはGHG削減戦略で50年までの目標に、総排出量の半減とトンマイル当たり70%以上の削減を掲げている。

 RINAはこれに対し海運業界が、技術的に未成熟で利用量の保証もないゼロカーボン燃料に依存した解決策を取らざるを得ない点が課題と指摘。その上で「港湾側の水素供給インフラが不要な画期的な新船型を活用すれば、(化石燃料の)LNGを使って50年目標を達成できる」としている。