海事アカデミア2022
 印刷 2022年02月17日デイリー版1面

ワンオーシャン、環境対応・円滑運航を支援。「エンバイロ・マネージャー」。船陸双方モニタリング、規制海域など表示

サービスに自信を見せる中川ジェネラルマネージャー
サービスに自信を見せる中川ジェネラルマネージャー
「エンバイロ・マネージャー」の表示画面
「エンバイロ・マネージャー」の表示画面

 海事関連ソフトウエアを手掛けるOneOcean(ワンオーシャン、本社・神戸市)は「エンバイロ・マネージャー」を展開し、船舶の環境規制への順守、円滑な運航をサポートしている。船内や陸の管理事務所のモニター上で、船舶の位置情報をリアルタイムに把握できるほか、当該海域で課されるさまざまな環境規制なども表示し順守を促す。中川貴司ジェネラルマネージャーは「環境規制が強化される中で、当社のソフトウエアを使用してもらうことで、規制対応を着実に進めることができる」と自信を見せる。

 「エンバイロ・マネージャー」はIMO(国際海事機関)のMARPOL(海洋汚染防止)条約などの順守を支援するために開発されたソフトウエア。

 船舶からの大気汚染物質などの排出の可否を、航海の状況に応じて利用する船員や陸上の管理監督者らに知らせる。モニター画面上には、航海計画(パッセージプラン)に基づき、横軸に時間、縦軸にはSOx(硫黄酸化物)やバラスト水など、船舶から排出される物質名を表示。それぞれの時間帯でどういった物質を排出できるのかを信号と同じ色分け(赤は排出不可、黄は注意、緑は可)で、一目で分かるようになっている。

 従来はリアルタイムの本船位置の排出可否だけを示すものだったが、直近の改良で時間軸を取り入れ、先の時間帯での規制対応を予見できるようにした。

 位置情報も同一画面上で視覚的に表示。各国領海内での排出ルールは、当該国が指定するベースライン(基線)から3マイル以内か、12マイル以内で適用されるケースが多い。船舶の航行位置が同12マイル以内にいる場合は濃い紫、同12マイル外は薄い紫と段階的に変わっていく。

 「基線の位置も国によってさまざま。中国は沿岸から基線までが広く、各種規制の課される海域もその分大きい」(中川氏)

 国によって、航行ルールが異なり対応が複雑となる中、「エンバイロ・マネージャー」の色分け表示により、誤った排出を回避し、沿岸国からの罰金やPSC(ポートステートコントロール、寄港国検査)での拘留(ディテンション)などのペナルティーを事前に防ぐことができる。

■航行安全にも寄与

 また、北米沿岸に設けられているクジラ類との衝突防止エリアに入った際にもアラートが表示される。

 さらに、「浅瀬」などの危険海域を避けるために、陸上(管理事務所)から独自にノーゴー(No Go)エリアも設定、表示できる。これらの機能により、「陸上と本船との安全認識の共有が可能になる」(中川氏)といい、「エンバイロ・マネージャー」は環境対応だけでなく、航行安全に向けた注意喚起も行う。

 天候の変化などで遅延が生じるような場合には、パッセージプランの中の「出港時間」「ウェイポイント通過時間」などを入力し直すことで、各種の規制対応画面も連動して切り替わる。

 中川氏は「EEXI(既存船の燃費性能規制)やCII(燃費実績の格付け制度)などの発効が控えているが、本船側の対策として、しっかりとした解が見通しにくい。そうした中、視覚的に理解しやすい当社のツールが、各種の規制対応に役立つはずだ」と語る。

 そのほか、ワンオーシャンでは、船上保持が必要なIMOやILO(国際労働機関)の規則や旗国ルールの書籍を電子化したソフトウエア「レッグ・フォー・シップ」なども取り扱っている。

 ワンオーシャンは2019年に電子海図・書籍のアップデートソフトなどを手掛ける英ChartCoとカナダの同業マリンプレスが経営統合し発足。世界8カ国に事務所を構える。日本国内では神戸と東京で展開。日本水路図誌(横浜市)が代理店を務めている。

 ワンオーシャンが提供する各種ソフトウエアのプラットフォーム(PF)の「ワンオーシャン」は、世界の船舶1万3000隻に導入されている。