海事アカデミア2022
 印刷 2022年02月17日デイリー版3面

22年度予算案】神戸市、CNP形成へ8億円。事業費初計上。集貨支援予算も前年並みに

 【関西】神戸市は16日、2022年度当初予算案を発表し、カーボンニュートラルポート(CNP)形成に向けての事業費8億円を新たに計上した。CNP形成計画の策定を進めるとともに、陸上電力供給設備の導入や水素ステーションの誘致などに取り組む。また事業の進捗(しんちょく)に伴い、ほとんどの事業費が減額となる中、集貨支援事業費は前年度と同額の11億円を確保。従来の集貨力強化に加え、環境対応にも取り組むことで、荷主や世界のメガキャリアに「選ばれる港」を目指す。

 港湾事業会計は21年度当初比7%減の774億円を計上。新規のCNP形成に向けた事業では、神戸港とその周辺地域での脱炭素化に取り組む。具体的には、陸電設備の導入に4億8000万円を配分し、新港第1突堤に停泊する練習船や、新港東ふ頭停泊の内航船を対象に陸電設備導入に着手する。また、ポートアイランド東部に水素ステーションを誘致するため3億2000万円を計上し、既存施設の撤去・整地に着手する。コンテナターミナル(CT)の近接地という立地を生かし、跡地には荷役機械やトラクターヘッドなど輸送車両への水素供給を見据えた大規模な水素ステーションを誘致する。

 戦略港湾の推進には92億円を計上。事業の進捗や阪神国際港湾会社への貸付金の減額などで、前年度より48億円減となったが、集貨関連事業は前年度と同額の11億円とした。神戸港を活用した物流改善事業や、環境負荷の少ない輸送形態への転換事業、海上小口混載サービス開設事業を引き続き支援するほか、在来貨物集貨促進事業では、従来の貨物支援に加え、RORO船を含めた新規の定期航路開設も支援する。

 港湾機能の強化事業には81億円(別途2月補正で13億円)を計上。高規格CTの荷さばき地の地盤改良に引き続き取り組むほか、国が戦略港湾施策で推進するCTの一体利用に向け、ポーアイのPC13―17のヤード拡張整備に国、阪神国際港湾と連携し本格的に着手する。またCTゲート処理の円滑化に向けた新・港湾情報システム(CONPAS)の試験運用に引き続き取り組む。

 さらに、新港第3突堤を利用する宮崎カーフェリーとジャンボフェリーの新造船就航を控え、内航フェリーの活性化事業に3700万円を計上。阪神国際港湾と連携し、フェリーの魅力のPRや新造船就航イベントなどで、特に新型コロナウイルスで激減した旅客利用を後押しする。