海事アカデミア2022
 印刷 2022年02月15日デイリー版2面

三井E&SHD、主機・クレーンに集中。造船は構造改革にめど

オンラインで会見する岡社長(左)と高橋取締役
オンラインで会見する岡社長(左)と高橋取締役

 三井E&Sホールディングス(HD)の新社長に4月1日付で就任する高橋岳之取締役は10日のオンライン会見で、同社が強みを持つ舶用エンジンと港湾クレーンの両事業に経営資源を集中させ、今後の成長分野として一層強化していく方針を示した。造船事業については「事業再生計画で描いていた構造改革、事業整理にはめどが付いた」と述べ、傘下に複数持つ造船・修繕関連会社の売却などは検討していないと説明。その上で「エンジニアリング中心の事業として引き続き力を入れ、伸ばしていきたい」と語った。

 三井E&SHDは2018年に持ち株会社体制に移行し、造船、機械、エンジニアリングの3事業をそれぞれ分社化。各事業会社が事業運営に集中する一方、同HDでは19年に策定した事業再生計画に沿い、グループ全体の事業構造の改革を進めてきた。

 その構造改革に一定のめどが立ったことから、23年4月をめどに持ち株会社体制を解消し、完全子会社の三井E&Sマシナリーなどを吸収合併して新体制へ移行することを発表済みだった。

 しかし、「昨今のより厳しい事業環境を鑑み、23年4月を待たずに来期から、新たな時代の成長に向かって挑戦してもらうべく、若い高橋取締役に社長を託すことにした」(岡良一社長)。

 高橋取締役は中長期の成長戦略について「当社グループの技術・リソースを結集し、グリーン(環境)とデジタルを切り口に多様な社会課題にいかに貢献していくか、その具体策を可能な限り早期に取りまとめて公表する」と話した。

 一方、短期的な戦略については「強みをさらに伸ばしていく」として、舶用エンジンと港湾クレーンの両事業を強化する方針を示した。

 舶用エンジンに関しては「脱炭素化でエンジンそのものが変わる中、生産体制をさらに強化し、新製品の開発スピードを上げてトップランナーの位置を固める」と説明。

 港湾クレーンでも脱炭素化の流れに対応し、主力のコンテナ用ヤードクレーンや岸壁クレーンだけでなく、「周辺機器まで広げた形でわれわれがカーボンニュートラルポートの形成に貢献していく」と強調した。

 三井E&S造船が担う造船事業は再生計画に沿い、常石造船との資本提携や千葉工場(千葉県市原市)の閉鎖、玉野艦船工場(岡山県玉野市)の艦艇・官公庁船事業の譲渡、四国ドックの譲渡などを進め、設計開発力の強みを生かしたファブレス(工場を持たない)事業への転換を図ってきた。

 こうした造船事業の構造改革について、高橋取締役は「事業整理には既に一定のめどが付いたとの認識だ」と説明。

 岡社長も「(三井E&S造船子会社の)新潟造船とMES由良ドックは今後も三井E&S造船と一体で運営する。(三井E&SHD持ち分法適用会社の)YAMIC(江蘇揚子三井造船)も同様だ」と述べ、グループの造船会社売却は現時点で考えていないと明言した。

 三井海洋開発(MODEC)に関しては、高橋取締役が「まずは発表済みの業績悪化要因に対し、技術的なサポートを最大限実施する」と述べた。