海事アカデミア2022
 印刷 2022年02月07日デイリー版1面

MariTech 海事未来図】飯野海運、AIでCO2排出量管理。CII最適化、ベアリング社開発

 飯野海運は4日、三井物産が出資する米ベアリング社(本社・カリフォルニア州)が開発したCII(燃費実績格付け)最適化ツールを段階的に導入することを決定したと発表した。ベアリング社の高精度なAI(人工知能)パフォーマンスモデルを活用し、本船のCII格付けをリアルタイムで把握、同時に将来の格付けも予測する。同ツールの活用により、飯野海運はCO2(二酸化炭素)排出量を管理し、より環境に配慮した船舶運航の実現を目指す。

 2023年から適用されるCII規制は、毎年の燃費実績をAからEの5段階で評価・格付けし、一定の評価を下回った船に改善計画の提出と主管庁による認証を義務付ける制度。継続的な省エネ運航を促すことが目的だ。

 飯野海運が導入するCII最適化ツールは、同社の長年にわたる運航や船舶管理に関する知見を活用。さらにベアリング社のAI技術を駆使した船舶性能解析モデルを組み合わせて開発された。

 同ツールを導入することで、高い精度で運航性能を把握できるようになる。また、足元のCII格付けをモニタリングできるだけでなく、将来の格付けも予測できる。さまざまな運航シナリオでのCO2排出量の可視化が可能になる。

 将来の格付け予測は、速力や航路、航海日数、船底清掃の有無などさまざまな運航シナリオと、本船の過去のトレードパターンや航行海域の気象海象条件の過去平均を加味して算出する。

 飯野海運は同ツールを、各船が目標とするCII格付けを達成するための対策と効果の定量化などに活用する。運航船からのGHG(温室効果ガス)排出削減の取り組みを加速させる。

 三井物産関係者はCII最適化ツールの優位性について、「初期費用がかからず導入可能で、運航計画策定・貨物輸送契約交渉時などデータに基づく意思決定を支援できる」と語る。

 ベアリング社は、AIの世界的権威であるアンドリュー・ング氏が設立したAIファンド(本社・米カリフォルニア州)と三井物産が出資し設立された。

 同社のテクノロジーの核となるのが、さまざまなデータを基に構築された高精度の船舶性能解析モデルになる。同モデルを駆使し船舶の運航効率改善を支援している。

 飯野はベアリング社と、CII最適化ツールにとどまらず、環境負荷低減に寄与する他のAIツールの機能拡張についても協力していく方針だ。

 三井物産は「CII最適化ツールの機能と導入効果に磨きをかけ、海運業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)とグリーントランスフォーメーション(GX)を支援していく」としている。