海事アカデミア2022
 印刷 2022年02月01日デイリー版4面

記者の視点/有村智成】大阪港夢洲地区でICT活用加速、近未来の先端港湾への進化に期待

 大阪港の主要コンテナターミナルとなる夢洲コンテナターミナル(DICT、C10―12)で、港湾効率化に向けた取り組みが加速している。その内、高速通信を用いた実証実験や、新・港湾情報システム「CONPAS」の試験運用は、いずれもICT(情報通信技術)を活用したものだ。大阪や関西の経済を支える玄関としての機能を高めるべく、こうした先端技術は積極的に取り入れてほしい。

 DICTでは、1月中旬から3月下旬までの期間、5G(高速通信規格)の専用ネットワーク「ローカル5G」を活用し業務効率化を図る実証実験が進められている。その内容は近未来の港湾を感じさせ、また将来のモデルケースとなり得る可能性を秘める。

 超高速通信が可能な5Gの特性を生かした各種機材の運用を通じ、業務効率化や生産性向上につなげられるか実証する。実験項目を見ると、スマートグラス(メガネ型ウエアラブル端末)活用や高精細映像伝送といった言葉が並ぶ。

 例えばスマートグラスを活用すれば、コンテナ箱のダメージや汚損を確認する際に現場の状況を管理棟でリアルタイムで共有し、対処にかかる時間を短縮できる可能性があるという。

 高精細映像伝送は、将来的なRTG(タイヤ式トランスファークレーン)遠隔操作への足がかりになる。また外来トレーラーの車両情報を活用した周辺道路の渋滞状況改善として、待機時間の可視化や渋滞予測の実現可能性を探る。

 実証試験では、海に面しコンテナが多段積みしている港湾エリアで、電波が実際に届くのか検証する。ローカル5Gの中でもSub6(4・8ギガ―4・9ギガヘルツ)帯を用いるといい、電波が届きやすく広いエリアをカバーできるという。

 またDICTでは1月27、28両日、CONPASの第1回試験運用も行われた。阪神港(神戸港、大阪港)としては、すでに昨年3月と8月に神戸港でCONPASの試験運用が行われており、これで神戸と大阪の両港が出そろった。

 CONPASは海上コンテナの陸上輸送でICTを導入し効率化を図る情報システム。阪神港のCONPASはコンテナ搬出入予約や搬入票電子化などの既存機能に加え、携帯端末を介した配車およびゲート受付時の行き先表示といった機能も持たせる。

 2021年に神戸港で行われた試験運用では、ゲート通過車両の処理時間を大幅に短縮する効果が見られた。大阪港で行われた試験でも大きなトラブルはなく、実運用に向けた関係者間の調整や制度設計こそが重要になると感じた。

 ローカル5G、CONPAS共に、その運用次第では港湾の機能性を大きく高める可能性がある。物流でのデジタル化が世界的な潮流になる中、先端技術を上手に取り込んだ阪神港モデルの確立に期待する。