海事アカデミア2022
 印刷 2021年11月02日デイリー版1面

MariTech 海事未来図】川汽・川重、機関プラント運転支援。AI活用、システム開発へ

 川崎汽船と川崎重工業は1日、将来の自動運航船の実現に向けた要素技術となるAI(人工知能)を備えた機関プラント運転支援システムの開発について、共同開発契約を締結したと発表した。システムのコアとなる故障予知や運転状態の診断を行う「舶用AI」は、プリファードネットワークスと共に開発を行う。

 機関プラント運転支援システムは、AIを用いた機関プラント運転データ解析をベースに故障予知・診断、状態監視保全(CBM)、最適運転支援などの機能を備える。

 開発に当たっては、川崎汽船のK―IMS(統合船舶運航・性能管理システム)を用いて収集した船舶の運航や機関の運転データ、経験に基づいた運用・整備ノウハウと、川崎重工が持つ船舶建造や推進プラント製造に関する技術力をAIに学習させて、システムの完成を目指す。

 まずはディーゼル推進プラントを搭載した船舶を対象として開発を進め、次に蒸気タービンや電気推進などの推進プラントを搭載したさまざまな船舶での運用を広げていく。

 実装されたシステムを通じ本船乗組員だけでなく、陸上管理者に対しても故障予知・診断情報などの有用な情報を提供し、重大な機関トラブルを未然に防止する。さらに、効率的な整備計画のサポートや本船の機関状態から機関プラントの最適な運転調整を助言することで、燃料消費量の改善とGHG(温室効果ガス)削減にも寄与する。